子供の突然の発熱、そして嘔吐や下痢、咳で食欲もなく辛そうな顔を見ていると、1日も早く元気にしてあげたいと願うのが親心です。
そのためにどんな症状にはどんな食事が良いのか、早期回復に役立つ料理はどんなものかを早く知りたいですね?
ここでは、風邪に効果が期待できる症状別の食事をご紹介します。
4つの風邪からの体力回復を早める食事
風邪による発熱や嘔吐、下痢、咳、鼻水といった症状を回復させるには、体力回復に必要なエネルギー源が必要です。
おかゆ、スープ、白身魚の煮物、デザートの4つの定番食事が炭水化物、タンパク質、脂肪などエネルギーになるはずです。
しかし、脂肪は消化が悪いので胃腸に負担をかけて回復を遅らせます。炭水化物とタンパク質を摂ってエネルギーをチャージして体力回復を早める食事を摂取しましょう。
1.おかゆは病気や離乳食の定番の食事
日本人は離乳食からお世話になることが多いおかゆ。お米を柔らかく煮る料理と言っても流動食の重湯(おもゆ)から具材を入れたり味付けもいろいろできてバリエーションが豊富です。
症状に応じて食べやすいものを作ってあげましょう。
もし米から炊く時間がなければ、すでに炊いてあるご飯で雑炊にすれば時間短縮になります。
1.発熱で胃腸の調子も悪いときのおかゆは卵がゆ
メリット
発熱して胃腸の調子も悪いときにおすすめの最も定番のおかゆは、卵だけを入れた卵がゆです。
卵は栄養バランスに優れすべての栄養素をバランスよく含む食品です。栄養的に米との相性も良く、消化やのど越しも良いため体調が悪いときでも食べやすく、おかゆや雑炊に入れるのに適しています。
注意すべきこと
薬味のネギは幼児にとっては食べにくく消化も良くない上、弱った喉への刺激になるので入れない方が望ましいです。
2.重湯(おもゆ)は食欲がないときに最適
メリット
食欲はないけど水分なら摂れそうなときは、重湯(おもゆ)がおすすめです。
乳児の離乳食にもなる重湯は、米:水=1:10でお米を柔らかく炊いたときの上澄み液で、単に水分だけでなくエネルギー源となる糖質とビタミン、ミネラルが摂れます。
残れば冷凍保存して後日使えるので、時間があれば多めに作っておくと便利です。
注意すべきこと
発熱や吐き気で食欲がないときは、体が食べ物の消化より風邪のウイルスとの戦いを優先している時かもしれません。
そんなときはムリに食べさせない方が回復を邪魔しないので、少し落ち着いてくるまで食べ物は控えた方がいいでしょう。
3.回復し始めたら野菜や白身魚を加えたおかゆ
メリット
風邪の症状が治まり食欲が出始めたら、具材を増やしたおかゆや雑炊がおすすめです。
少し繊維質がある野菜でも柔らかく煮ればビタミンが摂れますし、さらに鶏のささみ、白身魚を加えれば上質のタンパク質も摂れるので体力回復に効果が期待できます。
注意すべきこと
回復し始めの時はまだまだ胃腸の調子やのども完全には回復していないので、消化の悪い油っこいもの、油を使った調理法、濃い味付けや刺激のあるスパイスは避けましょう。
2.スープは消化の良い栄養満点のポタージュ、野菜、味噌汁が最適
飲みやすく消化にも良い液体状のスープは、のどの痛みや咳がでるときもむせにくいです。
水分補給と同時にビタミンも補給できる野菜スープやポタージュ、味噌汁は栄養も豊富でたくさん作って冷凍保存しておけば、いざというとき簡単に用意できて便利です。
1.ジャガイモのポタージュは栄養があって満腹感もある
参考:キナリノ
メリット
ジャガイモは糖質とビタミンを豊富に含む食品で、お腹に溜まるので満腹感も味わえエネルギーも摂れます。
牛乳も加えて作るポタージュは栄養のバランス的にもすぐれおいしいので幼児にも人気の食事です。
注意すべきこと
バターを使うのが定番の調理法ですが、できれば油っこいバターを使わずにかつおやイワシのダシを使うと胃腸に優しくなります。
2.野菜たっぷりスープにタンパク質も加えて栄養満点にする
メリット
たくさんの野菜のビタミンと、できればタンパク質の摂れる鶏むね肉を加えたり、さらにしょうがで体を温めれば代謝を促進しのどの痛みや咳を和らげる働きもあります。特にのどや咳の風邪改善におすすめの組み合わせです。
野菜は子供さんが好きな野菜を入れてもいいですが、トマト、ブロッコリー、ほうれん草、にんじん、かぼちゃを柔らかく煮るとビタミンの種類も豊富になって疲労回復や体力アップに効果が期待できます。
また大根やかぶは、消化を助け免疫力を上げる効果が期待できるので積極的に使いたい食品です。
鶏むね肉をささみに替えたり、細かくしてミンチボールにしたり、白身魚に替えてもおいしいです。
注意すべきこと
野菜でレンコン、ゴボウ、タケノコ、豆、キノコ類は、繊維が多く消化しにくいので避けましょう。
3.味噌汁のアミノ酸にタンパク質とビタミンを追加して栄養満点
参考:レタスクラブニュース
メリット
発酵食品の味噌は、体に欠かせない必須アミノ酸やビタミン、ミネラルを豊富に含むので、味噌汁は体調を戻すにはもってこいの食事と言えます。
豆腐はタンパク質の補充にも適し、かぶは離乳食にも使える柔らかくて免疫力を高める効果のある食品です。
柔らかい具材の味噌汁なら消化も良く体力の回復をサポートします。
うどんやソーメンを入れるとエネルギー豊富な主食として、おかゆの代わりの食事になります。
注意すべきこと
味噌は塩分が多いので消化を良くするために味付けが濃くならないように気をつけましょう。
またうどんやソーメンを入れる場合は、短く切って食べやすくしてあげましょう。
3.白身魚は回復期に最適な高タンパク質の食事
風邪の症状が治まり回復を加速させたい時期になったら、消化が良く栄養価の高いたんぱく質を豊富に含む白身魚を摂りましょう。
白身魚(かれい・たら・たい・すずき等)を油を使わずに煮る、蒸す、茹でるといった調理をすれば、消化が良く栄養豊富な食事になります。
1.かれいの煮つけ
メリット
あっさりした白身魚のかれいは生臭さが少ないので体調が悪いときでも食べやすく消化も良いです。
またおかゆとの相性も良く副菜にぴったりです。また身と骨が取り分けやすいので手間もかからず、誤って骨を食べる心配も少ないです。
注意すべきこと
かれいがない場合は他の白身魚や冷凍もので代用できます。
白身魚が手に入らない場合は、割と消化の良いアジやサケがおすすめです。
2.白身魚のたらと大根のみぞれ煮でタンパク質を摂り免疫効果も上げる
参考:レタスクラブニュース
メリット
たらのタンパク質、大根に含まれるジアスターゼによる消化促進と免疫力を上げる効果で風邪からの回復を助けます。
大根が食べにくい場合はかぶに替えても同じ効果が期待できます。
注意すべきこと
淡白な味の魚でつい濃くしたくなりますが、なるべく薄味で食べるようにしましょう。
また、豆腐を入れるとタンパク質がさらに増え、触感の変化にもなるので飽きずに食べられます。
4.デザートはゼリー、アイスクリーム、ヨーグルトが最適
食欲がないときや発熱しているとき、子供が好きな甘い物なら食べてくれることもあります。
子供用ゼリー、脂肪分の少ないアイスクリームやシャーベット、ヨーグルトは癒し効果もあるので普段は控えている場合でも欲しがれば食べさせてあげましょう。
ただし、冷えすぎたものを多く食べるのはお腹を壊したり、体調をくずす可能性があるので控えめにしましょう。
整腸作用のあるリンゴは、小さくカットしたりすりおろしてそのまま食べたり、ヨーグルトに添えてもおいしく食べられます。
同様にバナナもヨーグルトに添えると糖質が豊富なのでエネルギー源にもなります。
反対に、ミカンなどの柑橘類は消化が悪いので、下痢をしているときは避けた方が良さそうです。
1.ゼリーは缶詰を使えば手作りも簡単に作れます
メリット
市販されているゼリーや簡単に家で作れるゼリーは、発熱で体がほてったときに清涼感を感じさせのど越しも良く食べやすいので癒される食事になります。
添加物や糖分があまり多くない物がおすすめです。
果物の缶詰を使えば、ゼラチンや寒天と混ぜて家でも簡単に作れます。
下痢をしていないときは、缶詰のみかんはシロップごと使えるし短時間で作れて便利です。
桃やパイナップルの缶詰は繊維が多い果物なので細かくきざむかペースト状にして使うと食べやすくなります。
また果物の缶詰を細かくつぶして冷凍庫に入れるだけで簡単なシャーベットもできます。
注意したいこと
甘いものが大好きな子供たちは風邪が治り始め、食事で栄養が摂れるようになってもゼリーを食べたがることもあります。
でも、糖分の摂りすぎは消化の際にビタミンやミネラルを消耗するので体力回復を妨げます。
食事が摂れる状況になったら、ゼリーはおやつとして控えめに食べるように切り替えましょう。
2.アイスクリームは発熱やのどの痛みに癒し効果が抜群です
メリット
アイスクリームは発熱で体がほてっている時やのどが痛いとき本当においしいですよね。
牛乳のタンパク質も摂れるし体の辛さを一時忘れさせてくれる癒し効果があります。
アイスクリームは何も入らないプレーンなクリームだけのものが消化を妨げないのでおすすめです。
特にのどに痛みがあるときは、果物やチョコチップ等の固形物はのどへの刺激になるのでやめましょう。
注意したいこと
アイスクリームには脂肪分が多く含まれます。
脂肪分の摂りすぎは消化に悪いので、なるべく脂肪分の少ないものを選びたいです。
また、冷たいものを摂りすぎるのは体の回復にとっては良くありません。
子供がほしがっても別の常温のものを与えるようにしましょう。
3.ヨーグルトはひと手間加えると栄養のある間食になる
参考:日本発酵菌協会(仮)
メリット
ヨーグルトは牛乳のタンパク質に加えて乳酸菌やビフィズス菌も入っているので整腸作用、免疫力を上げる効果も期待できおすすめの食品です。
何も食べられないときの食事として、また間食に食べると便秘や体力回復に役立ちます。
ヨーグルトにリンゴやバナナ、きな粉を加えれば、ビタミンも摂れ消化も助けまたエネルギー源の補給にもなるので風邪の回復により効果的です。
ヨーグルトに混ぜるとおいしいハチミツは、1歳半くらいまではボツリヌス菌のリスクのため食べません。
2歳以上の幼児はもう大丈夫だと思われますが、まだ年齢が低めの幼児は、体力や免疫力が減っている時でもありますので万が一を考えて食べない方が無難かもしれません。
注意すべきこと
ヨーグルトは下痢をしやすくなる場合があるので注意が必要です。
また冷たすぎて食べにくいときは、レンジで40℃くらいに温めると食べやすくなります。
この時、温度を上げ過ぎると乳酸菌やビフィズス菌が死滅して整腸効果も無くなります。
40℃くらいか高くても50℃までにしましょう。
風邪予防に役立つ免疫力を上げる食事
風邪の予防には免疫細胞を活性化させたり、病原菌を防御する粘膜を丈夫にすると効果的です。
日頃、バランスの取れた食生活を心がけ偏食をしないことが免疫力を上げるうえで最も大事ですが、特に風邪をひきやすい子供さんは、風邪予防に効果的な栄養素を含む食事を摂るように習慣づけると、抵抗力が増えて風邪をひきにくくなると言われています。
そんな働きのある代表的な栄養素を含む食事を紹介します。
1.ヨーグルトはバナナ、きな粉、ハチミツと一緒に摂る
ヨーグルトには免疫細胞を成長・活性化させる乳酸菌が豊富です。餌になるオリゴ糖と一緒に食べると尚、理想的です。
2.ニンジン、ほうれん草、小松菜、ニラのビタミンAは油で炒めると効果的
脂溶性のビタミンA(βカロテン)は、油と一緒に摂ると吸収されやすいので、油炒めなどがおすすめです。
3.レモン、キウイはビタミンCが壊れないうちに食べよう
ビタミンCは熱や酸素で壊れやすく、体内で蓄積できないので毎日摂る必要があります。
果物はレモン、キウイ、イチゴに、野菜ではブロッコリー、キャベツ、ジャガイモ、かぶ、大根等に多く含まれます。
上記で紹介したジャガイモのポタージュやかぶの味噌汁、大根のみぞれ煮は免疫力アップに役立ちます。
4.カボチャはビタミンE、A、Cが豊富
カボチャの煮物はビタミンEだけでなく、ビタミンAとビタミンCも豊富で免疫力に役立ちます。
食事だけでなくおやつにも使いやすいので、いろいろ活用したい食品です。
5.鮭、サンマ、ちりめんじゃこでビタミンDを摂る
ビタミンDは骨を作るときに必要なだけでなく、体内に風邪のウイルスが侵入した時に免疫細胞を増やす働きがあり、ビタミンDが多い人ほど風邪にかかりにくいことがわかってきました。
現在、紫外線によって合成されるビタミンDが、紫外線を防ぐ習慣によって世界規模で不足している状況にあり日本人も例外ではないそうです。
インフルエンザに感染しにくい体作りには、ビタミンDが不足しないように十分気をつける必要があります。
その他
植物油の亜麻仁油やえごま油に含まれるα-リノレン酸、青魚のn-3系脂肪酸は免疫反応による炎症を抑える効果があります。
また、牡蠣、レバー、赤身肉、納豆の亜鉛は細胞壁を強くします。アーモンドやそば、大豆に含まれるマグネシウムはウイルスに感染した細胞を攻撃して排除します。
さらには、キノコに含まれるβグルカン、海藻に多いフコイダンは免疫を活性化し、トマトに多いリコピンや緑茶の抗酸化作用、カテキン、ブルーベリーのアントシアニン、ワインに多いポリフェノール、玉ねぎやリンゴに含まれるケルセチンというように、まだまだ免疫力を高める食品はたくさんあります。
これらの食品はそれぞれ免疫細胞に対して直接的あるいは間接的に関わりながら、体全体の健康も維持することで免疫力を上げています。
まとめ
幼児が風邪をひいたときの食事は、栄養価が高いもの、消化の良い物、のど越しの良い物を選びましょう。
いつも風邪は突然にやってきます。慌てないために、魚やとうもろこし、果物などの缶詰や乾燥うどん等の保存食品を常備しておくと便利です。
特に魚の缶詰は、面倒な調理もせずにそのまま使えるし、素材の栄養が丸ごと入っていて防腐剤も無添加なので安心です。
味付けが濃い点だけに気をつけましょう。